『満つれば欠ける』
全文は『月満つれば則ち虧く(つきみつればすなわちかく)』
満月は必ず欠ける。物事は盛りに達すれば必ず衰えはじめるというたとえ。《「史記」蔡沢伝から》
の諺により不完全な状態を保っている日光東照宮の建物
建物一つ一つに意味を持たせている昔の人って本当に素晴らしいですね。
今回は意外と知られていない未完成の部分を紹介したいと思います。
3カ所の未完成な部分
神厩舎(しんきゅうしゃ)
神厩舎は、ご神馬をつなぐ厩(うまや)です。
私も始めて知ったのですが、昔から猿が馬を守るとされているところから神厩舎の長押(なげし)上には猿の彫刻が8面あり人間の一生が風刺され、この8面の猿の彫刻の中に有名な「見ざる・言わざる・聞かざる」があります。
三猿の彫刻が有名なのですが、もう少し目線を揚げてみると、
神厩舎の屋根は、左右で長さが異なっていることが分かります。
東照宮の中の建物を見ると、ほぼ左右対称に作られているのですが、
あえて左右非対称に作ったことが、まだ未完成と言われています。
三猿のストーリーはこちらで紹介しています。
日光東照宮・五重塔・陽明門・眠り猫・三猿の秘密
御水舎(おみずや)
神様にお参りする前に、手を洗い、口をすすぎ心身を清める為の建物です。
天和4年 鍋島勝茂候よりの奉納。花崗岩の水盤を中央に配し、水を使うことを考慮し柱は腐らぬよう花崗岩で作られている。屋根は唐波風。正面の台輪の上には立浪の彫刻、虹梁の上には波に飛龍の透彫が配されており、桃山時代の豪快な彩色の代表的な遣風とされる。
東西廻廊(かいろう)
陽明門から左右にのびる朱塗の回廊の胴羽目には、東側に16間、西に9間にわたり狩野理右衛門の下絵になる極彩色の大彫刻が配される。欄間には雲、胴羽目には花鳥動物、腰羽目には水鳥が天地水と組み合わせて掘り分けられている。いずれも一枚の丸彫刻の透彫、最大のものは横2.3m,縦1mの一枚板が使われている。
※一番東側の彫刻だけサイズが小さいことが未完成と言われています。
五重塔
【追記】未完成分はまだあった。
日光東照宮の五重塔も未完成だった!
まとめ
日光東照宮の建物達には、何度訪れても心を動かされます。
昔の人がどんな思いで作ったのかを考えると、タイムスリップしたようでワクワクしますね。
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